キラン

奥歯の隙間をなんとかするのだろうと思っていたのですが、どうやらどうにもならないまま、私の矯正は終了した模様です。

 

リテーナーを新しくもらい、インビザラインのようなクリアのマウスピースを毎日食事と歯磨き以外は常に装着するように言われていて、大体その通りにしている。外すたびに歯ブラシでマウスピースを洗って、週に1回程度は中性洗剤で洗っている。

 

本当に奥歯に隙間があって、鶏肉は大体いつもすっぽり収まるので、はっきり言って不便です。歯間ブラシを使わなくてもワンタフトブラシで掃除し切れる感じの隙間なので、私は問題なのではないかと思っているのですが、こんなに歯型を取って気づかないなんてことはないと思うので、きっと問題ないのでしょうか…

 

ただブラケットがないことはとっても爽快なので、歯の隙間が歯科的に問題にならないのなら私も問題にしない。理想の歯並びではないが、以前と比較にならないくらいにキレイになって、気が楽になった。なんとなく、いつも手で口を覆って笑うことも多かったし、歯を見せて笑顔でまっすぐ相手の目を見るのも気が引けた。

 

接客業をしていた時は勿論お客様の目を見て、歯を丸出しで笑っていたけれど、それはそれ。仕事とプライベートではできることとできないことがある。お金をもらっているのだから、ガタガタの歯並びだって一生懸命笑うというものだ。

 

でも今は、なんの躊躇いもなく相手の面前で歯を丸出しにして堂々と笑うことができる。

当時は歯並びがコンプレックスであったけれども、人への対応に影響しているとも思っていなかった。何故ならキレイな歯並びの自分などこの世のどこにも存在していなかったからだ。比較などしようがない。

ブラケットをくっつけていた期間はこれまで以上に人前で歯を見せることが憚れるようになった。ブラケット好きも少数いるかもしれないが、あまり気持ちの良いものではないとおもったからだ。とはいえ、人の歯にブラケットが付いていると微笑ましく思ってしまう。仲間意識というか今は辛いが、この後は大口開けて笑えるよね!と思ったものだ。

とうとうブラケットが外れた時は、ちょうどマスクをしている時期だった。インフルとかノロとか。やっと私のキレイな歯並びを披露して行けると思っていたらコロナのマスク生活で、私のブラケットがしっかり取れたかどうかを気にしてくれていたのは、一人の友達と、母親くらいのものだった。残念。

ご飯を食べる時はマスクを外すので、ブラケット時代はご飯中の歯を見せることは一番高いハードルだったが、今は平気だ。奥歯に鶏肉が挟まっていたって、私はにっこりと相手の目を見て笑っていられる。

あー、キレイな歯並びになったね。って言ってくれる人がいた。多分ほとんどの人はブラケットになったことも、ブラケットを外したことも、触れてはいけないことのように思っているのかもしれないけど、どう見たってくっついてるから。

でも矯正経験者か希望者はブラケットに触れてくれるので、割と話しやすかった。

気兼ねなく笑えるって素敵。最近会った初対面の人たちは私の以前の歯並びもブラケットも知らないけど、私はキラッとキレイな歯並びを見せつけて100万くらいです。って気持ちでいる。

 

勿論生まれながらに、この程度の歯並びの人は多くいるのだろうなとは思うし、もっとキレイに整った歯並びの人もたくさんいる。でも私は嬉しいのだ。自分の笑った時の口元がキランとしていることが。